悠久の大河 長江三峡クルーズと三国志ゆかりの地を訪ねて

中国・湖北省宜唱市郊外。幹線道路から長江の河畔に通じる道路をバスはゆっくり下りてゆくと、暗闇の中に煌々とライトアップされた大型クルーズ客船が目の前に飛び込んできて車内は歓声に包まれた。この船の名は「センチュリーパラゴン号」、12千トン 重慶新世紀クルーズ社が運航する2013年度に就航した長江三峡クルーズでは最大級で最新鋭の大型客船である。バスを降りてクルーズ船を眺めると「これがリバークルーズ船なのか」と思える程、とにかくその船体の大きさに度肝を抜かされる。笑顔の本船スタッフの出迎えを受け船に乗り込んだ瞬間、長江三峡クルーズの夢は現実となる。吹き抜けのロビーは解放感にあふれ、改めて船の大きさを実感するが、船内は2箇所のレストランの他、多目的ホール、展望ラウンジ&バー、ショップ、シアター、ジム、室内プール、診療所、フォトショップ、理髪室まで兼ね備えたラグジュアリー船なのである。案内されたメインダイニングで船内生活の説明を聞きながらカップに注がれた熱いお茶を飲んでいると、長旅の疲れもいつのまにか吹き飛んでしまった。

乗船当日、船は桟橋に停泊するが翌朝気が付くといつのまにか桟橋を離れていた。センチュリーパラゴン号は電気モーター併用のハイブリッド船なのでとにかく音が静かで振動がない。出港時の汽笛も鳴らないので停船しているのか運航しているのかもわからないくらいだ。部屋のベランダに出てみると奇岩の山々が目の前に迫り、すでに三峡の一つ「西陵峡」に差し掛かかったところだった。船も大きいが今回利用したデラックスキャビンは広さが28㎡あり、あの飛鳥ⅡのD・Eバルコニー(22 ,9㎡)よりも広いのである。部屋の備品も外航クルーズ船と同様のアメニティグッズが揃い、快適なクルーズライフが約束されていた。お部屋は全室がバルコニー付でどの部屋からも三峡の景色だけでなく行き交うフェリーや貨物船など様々な船を見かけるので楽しさを倍増させた。宜唱から重慶にかけてのクルージングでは「西陵峡」「巫峡」「瞿塘峡」の3つの大渓谷が連なり、長江の中でも最も美しいエリアとなっている。途中には世界最大級の三峡ダムの見学と5段式シップロックの大迫力の通過、小船に乗り換えての手つかずの原始の風景が残る神女渓、三国志の舞台となった白帝城など悠久の歴史に身近に触れられるのも大きな魅力となっている。船の食事は朝、昼、晩ともバイキングスタイルだが、中華だけでなく洋食や日本食などバラエティに富んだ料理が用意され、種類が豊富なデザートやフルーツも食欲を誘う。船内イベントでは太極拳教室や長江三峡と三国志講座、操舵室見学、船員さんによる歌舞ショー、船長主催のウエルカムパーティなど多彩なイベントが組まれて飽きることがない。特に歌舞ショーは中国伝統の変面やマジックショーなどを本船スタッフが披露してくれるのだがそのレベルは高く、クルーショーというよりエンターテイナーが昼間はウエイターやコック、ショップ店員をしているといったほうがいいかもしれない。とにかくお客様を楽しませようと努力を惜しまないサービス精神は脱帽ものであった。4泊5日のクルーズはまたたくまに過ぎていった。

三峡ダムは2009年に完成したがそれに伴い長江の水位が大幅に上昇、12千トン級の大型客船が就航できるようになった。水位の上昇は下から歩く距離を短縮、観光スポットに容易に行けるようになるというメリットも生まれた。1日に午前と午後の2回上陸観光が組まれても疲れを感じさせないのはそんな理由からであろう。クルーズ中は船上から眺める三峡の景色に心を癒されながら醍醐味の連続であった。シップロックでは世界的に有名なパナマ運河、フィヨルドではニュージーランドのミルフォードサウンドが知られているが、これを見るためにはわざわざ世界一周やオセアニアクルーズに乗船しなければならないことを考えると、わずか4泊5日でこの醍醐味を体験できてしまうこの長江三峡クルーズはお得感満載と言ってもいいであろう。クルーズファンのみならずぜひ一度は乗船をお勧めしたいクルーズであった。

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